FAnet FAnetとはFAnet会員登録お問い合わせサイトマップ
PS Online CanCam Online cyber Oggi Web Domani Precious BITEKI.com Muffin-Net
ピーチ・ビジョン 代表取締役社長 野口美佳さん 私の転機は... 1993年 ピーチ・ジョンを立ち上げたこと 5人の中の自分と、100万人の中の自分は違って見える。
ときどき、いろいろな規模の中にいる自分を
俯瞰で見てみると、自分の役割や使命がわかってくる。
賢女インタビュー Vol3 チャンスはいつだってそばにある!
History ピーチ・ジョン代表取締役社長 野口 美佳(のぐち みか)
  1965年
1月13日 宮城県仙台市にて生まれる
  1983年
18歳/宮城学院高等学校を卒業し上京
  1986年
21歳/現ピーチ・ジョン会長の野口正二氏が設立したばかりの会社に入社
  1988年
23歳/ピーチ・ジョンが下着部門としてスタート  カタログ第一号発行
  1993年
28歳/「ボムバストブラ」が初登場し、大ヒット
1994年
29歳/株式会社ピーチ・ジョンを設立
代表取締役社長となる。千駄木店OPEN
  1995年
30歳/渋谷109店OPEN
  1996年
31歳/カタログが100万部突破 表紙にナオミ・キャンベル登場
  1997年
32歳/難波OPEN
  1998年
33歳/名古屋、神戸、新宿、横浜、梅田店OPEN
  1999年
34歳/仙台、福岡店OPEN
  2000年 35歳/梅宮アンナが109のシリンダー広告にてランジェリー姿に 札幌、西銀座店OPEN
  2001年 36歳/吉川ひなのをイメージキャラクターに起用。 『胸から伝わるっ』(ほぼ日ブックス、朝日出版社)出版
広島、京都、千葉店OPEN
  2002年 37歳/PJワークブック発刊
上野店OPEN
  2003年 38歳/ビビアン・スーが109のシリンダー広告にてランジェリー姿に 『愛と勇気』(ワニブックス)出版
  2005年 40歳/大宮、コレクテッド横浜、コレクテッド名古屋店、金沢店OPEN 『男前経営論』(東洋経済新報社)出版
  2006年 41歳/心斎橋、原宿、京都河原町店随時OPEN予定
93年、ひとりで海外に買い付けに行っていたころ。今でこそ、向こうから「売ってくれ」と言われるが、当時は「なんだかよくわからない日本人が来た」という目で、ビジネスの相手にはされなかった。「まぁ、それも当然なんですけどね」と野口さん。でも、体当たりで取引先を開拓していく。
95年、東京・渋谷の109店オープンのとき。流行の発信地に店舗を構えることで、ピーチ・ジョンのブランド力を、さらに強くしていった。
「またやりたいけど、もう2度とないかも」と野口さん自身がいう、『PJ』27号(98年冬号)の表紙ポスター。人気女性ファッション誌のメインモデルが出版社の枠を超えて1枚の表紙写真におさまった。「本当に大変だった」という撮影のあと、完成したポスターを前に、思わず記念撮影。
今月半ばに移転したばかりの、新オフィスのショールーム。デコラティブな棚やシャンデリア、パッと目をひく赤いチェアなど、ピーチ・ジョンのイメージを印象づけるばかりか、ここに働くスタッフが誇りに思える内装。
今や年商170億円。若い女性の4人にひとりが、カタログ誌『PJ』の購読者という下着通販ブランド「ピーチ・ジョン」。その代表取締役社長を務める野口美佳さんは、「男前な女性」と称される。有名人やモデルに次々とピーチ・ジョンを着せ、女性誌のようなカタログを作り、通販業界に新しい流れをもたらした。その成功の元となった生き方、考え方とは?
興味のなかった下着に夢中になれたのは、海外モノのおかげ。
「なぜ? どうやったら?」と考えてビジネスにつなげていった。
大成功もあったけど、大ピンチもあって今がある
野口さんのビジネスマンとしてのスタートは23歳のとき。もと夫で、現会長の野口正二氏の通販会社を手伝っているうち、「女なんだから、下着の部門を自分でやってみないか」と言われ、始めたのがピーチ・ジョンでした。でも、「もともと下着には興味がなかった」と、野口さんは言います。
 胸がなかったんですよ。高さを出すためにつけてるつもりなんだけど、そのころのブラジャーって、何を使ってもカパカパあまっちゃう。だから、まったく興味が持てない世界でしたね。サイズで縛りがあったので、選ぶ楽しみもないし。自分にはつまらないものでした。

 でも、下着の通販を私がやるということになり、手に入る限りの下着を買って、つけてみたんです。それで初めて、「あれ? 海外のものって、日本のものと違う」ということに気がつきました。ちょっとカルチャーショックを受け、違いの原因をいろいろ考えました。素材も違えば、裸になって下着をつけたときのフォルムが違う、胸の出方も違う…、すべてが違う。海外のものをつけただけで、体が女性っぽくなるし、映画で見るような女優やモデルのラインが出るんです。

  すると自然に、「これを日本で作るにはどうしたらいいか?」と考えるようになります。でも、まだひとりで会社をやってましたから、工場に発注するほどの量がなくて、「海外から買ってきて、そのまま売るほうが、うちの会社には効率がよくて、儲かるのではないか」と思って。それで買い付けに行ったんです。そのころ、海外から持ってくる人も、まだそんなにいなかったので。
90年代初め、「夫の仕事の延長で、その分野をやってみようかなという感じ」でスタートしたピーチ・ジョン。起業家という言葉も一般的ではない時代でしたが、「人の会社に入って使われるのはイヤ。『何かやるなら自分で』と、小さいときから決めていた」という野口さんは、通販業界に革命をもたらす方法で、会社を大きくしていきます。
有名人やモデルに、「洋服を脱ぐ」のではなく、「ピーチ・ジョンを着る」という意識を植え付けたことが、ブランド力を上げる原動力に。「ボムバストブラ」、「ワンダーブラ」などの大ヒット商品を生み出します。でも、ピンチも決して少なくありませんでした。
 最初の大ピンチは、ブラジャーの2本目のヒットを出したとき。28歳のころでした。広告を出したら、売れすぎちゃって。予想よりも10倍以上…、いや、20倍くらいのオーダーがきてしまって。それはたとえば、3000本しか持ってないのに、6万本のオーダーがあるってことで。当時は自社で工場を押さえていなかったので、追加分を作るには、どんなに急いでも6か月はかかる。その半年間、6万本待たせているということは、6万人のお客さんを待たせているってことです。

  6万人のお客様ひとりひとりに、「半年間、お待ちいただけますか?」と手紙を送ったり、電話をかけたり。6万件お待たせすると、最低でも3000件のクレームがきます。クレームの電話に出る子は、「まだこない」「ないものを売るな」と、毎日怒られて怒鳴られて、かわいそうでしたね。そういうことが続くと働いているほうにも、会社に不信感が生まれる。「お待ちいただけますか」と苦情に対応しながら、影では一生懸命、「なんとかなりませんか?」って、工場に。それでも広告を出し続けて回していかないと、今度は6万本を仕入れるお金も作れないんです。苦しくて悩んで、本当にイヤになりました。

  その半年は勉強になったし、最初の「自分で商品を作って売ること」に対する、「試練」…、そうね、「危機」でもないし、「苦労」でもなくて、「試練」だったと思いますね。私も一消費者だったときは、「なんでないもの売るんだよ」とか、「こっちが欲しいのに、すぐ作ればいいじゃん」って思ってたけど、メーカーが裏側でどうやって生産してるかっていうことを、自分でやってみて初めてわかったんじゃないでしょうか。

  私が言ってるのはホント単純なことで、モノを作るには、それなりの時間がかかるっていう、当たり前のことなんですよね。それに気がつかなかった。たとえば今、アメリカから牛肉が入らないって言ってるけど、あれが入らないために、どれだけのビジネスがストップしているか。牛丼屋さんだけじゃない、たとえば船や倉庫が空いちゃったりね。そういうのは、ただ消費者をしていては気がつかないですよね。
ピーチ・ジョンのコンセプトは「元気・ハッピー・セクシー」。このキーワードの下に、女性の直感や感覚も大事にして、商品セレクトをしていく。高価だった海外下着が手ごろな価格で買えるのは、大量生産や徹底したコストダウンを怠らない企業努力の結果です。しかし、「モノを作る人」と「大量生産」の間には、様々な葛藤も生まれます。
 商品セレクトについては、経験から確固たるセオリーを持っていますが、やはり難しい面がありますね。「手の込んだステキなモノ」は量産できないので、手仕事で作られたモノなどを見ると、「うらやましいな」と思います。うちは大衆ビジネスですから、何千、何万という単位で生産できるモノしか売ることができない。ピーチ・ジョンの商品のほとんどが手ごろな価格であるいちばんの理由は、「大量生産」ですから。つまり大量に資材を買って一気に生産・輸入するかたち。

  昔のように買い付けだけだったら大量には売れないし、3倍、4倍の値段にしないと合わない。だから「モノ作りをする人」と「ビジネスマン」としての葛藤は、しょっちゅうですね。自分個人としては、それがいちばんツライですね。「こんなステキなものがあるのに、これはうちでは売れないな」とかね。手仕事でステキなものを売っているお店をみると、本当にうらやましいと思います。
野口さんの女としての人生は、現会長との2度の結婚と2度の離婚の間に3人の子どもをもうけ、3年前に新しいパートナーとの間に4人目の子どもを授かりました。そんな野口さんですが、自身は、「私は仕事に生きる人」と悟っているとか。女性社員がほとんどのピーチ・ジョンを、これからどう進めていくのでしょう。
 会社がだいぶ安定してきたので、一生懸命働いてくれている社員に対して、会社での居心地や待遇を変えていきたいと思います。「ピーチ・ジョンと一心同体」みたいなスタッフたちを、大事にしていきたいし、本当にできる女の子をもっと見つけ、育てて、支援していきたいという気持ちもあります。都内でね、女がひとりで働いていても、5000万円くらいのマンションのローンが組めるような、それぐらいの会社にはしたいなぁと思います。でも、「費用対効果」って、会社ではいちばん重要なこと。つまり仕事ができる人になって欲しいと思うんですよ。私、そこは厳しい考えを持っています。会社と社員って、お互いGIVE&TAKEですからね。「高待遇にしてあげたいけれども、それが当たり前のような仕事のできる人間になって!」って感じですね。
ピーチ・ジョンの社内は、「私語推奨」。雑談で社員同士のコミュニケーションが取れるし、そこから相手の状態や考えていることがわかるからだそうです。野口さんと仕事の話をするのは5分以内。そのほかは、「その服かわいいじゃん」とか「最近、いい男ふえたね」とか。そうやって話しかけることで、社員が元気でハッピーに仕事をしているか、野口さんはさぐっています。そして、元気のない子をみつけると、2時間でも3時間でも話を聞くそうです。そんな野口さんに、FAnet読者へメッセージをもらいました。
 自分自身を「俯瞰的に見るクセ」をつけるといいですね。たとえば、30人の中にいる自分とか、100万人の中にいる自分とか、逆にひとりの自分とか。そういうモノの見方をすると、自分のポジションや、自分にどんな役割・使命があるか、見えやすいと思うんです。すると、5人中の自分と、100万人中の自分は違うということがわかる。

  昔から「悩んだときに空を見上げたら、ちっぽけな自分」って言うけど、それはとっても抽象的なモノの見方。もっと現実的なモノの見方をすると、現実的な動き方というのができるようになるんですよ。たとえば1つのプロジェクトを5人でやっていたら、その5人の中にいる自分を俯瞰で見る。俯瞰で見たら、100万人の中の自分だって、役割がみつかる
 でも、こういうことを考えるときって、だいたいモメているときなんですよね(笑)。自分だけのことを考えちゃうと、感情でしかモノを考えられなくなるんで、5人を上からフェアに見るとね、「自分もいけなかったな」とか、「こういうふうにやったら、そりゃ、相手も怒るだろうな」とか、相手の立場に立って自分を見られるようになるんですよ。そうすると、結構、変われるんです。
同じ世代の「起業家」に友人が多く、食事に行くこともよくあるそう。社長同士だと詳しく説明しなくてもわかる共通の悩みなどを、「お互いが癒しあっている」と野口さんは言います。
 社長同士、集まって飲みに行ったときはすごいんです。何がすごいかって、取り皿はどんどん回ってくるは、グラスが空いたら、すぐにビールが注がれるは…。ビールを継ぎ足そうとすると、ビンの上で、ほかの人と手が重なったりするんですから。「あ、失礼」みたいな。みんな、気の回し方が先へ先へといっちゃって、気がつきすぎ!
 最近、いいなぁと思っている言葉は、「でしゃばらず、おこたらず」。ゲイの友人に教えてもらったんですけどね(笑)。そのココロは、「あんまりでしゃばりすぎてもよくないけど、だからといって、さぼっていたり、見てないのもいけない」。ちゃんと心を配ったり、見てなければいけないってことね。これって社長業に必要な言葉ですよ。でしゃばりすぎてもダメだけど、ちゃんと見るものは見てなければならないということ。私のような立場の人は、みんなそれを意識しているっていうのが、さっきの飲み会のエピソードですよね。
【編集後記】
野口さんのドキュメンタリーをテレビで見て、「この人の話が聞きたい!」と思って、実現したインタビューでした。特に印象に残ったのは、大量生産をしなければならない「ビジネスマン」と、手作りのモノを作りたいという「職人」としての葛藤の部分。でも、野口さんはすでに「ピーチ・ジョン」という巨大ブランドの一員で、その中で自分の役割を「俯瞰」で見ると、やっぱり大衆ビジネスをしていかなければならないし、それをちゃんと貫いている。会社経営のできる人の違いを、言葉の端々で実感しました。ただ、「大衆ビジネス」とはいえ、浜崎あゆみさんや、吉川ひなのさんなど、数々の有名人を始め、300万人もの女性を虜にしているという事実が、このブランドのスゴさ、商品の質の良さを物語っています。(2006/01/26 text;Shiho DOHI)
小学館雑誌定期購読ハッピーボイス(会員専用)Muffin-Net和楽庵女性セブンブックギャラリーPrivacy pollicy小学館のプライバシーステートメント
2005(c)Shogakukan No reproduction or republication wihtout written permission
このサーバー上のデータの著作権はすべて小学館が保有します。 掲載の記事・写真・イラスト等のすべてのコンテンツの無断複製・転載・放送等は禁じます。