『純愛』 PART1 (体験談部門)|FAnetオンラインノベル 体験小説

 
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私の恋愛ストーリーエッセイ佳作
純愛
体験談筆者:みなみさん
※体験談部門受賞作品は、応募作品の内容をもとに書き起こした小説として紹介してあります。Novelization:笹倉 紫
最近すごくきれいになったよね…、そんな彼の言葉から始まって、子供を連れた彼を偶然目にするまで、20代の私は、彼を一生懸命に愛しました。
イラスト/福田さかえ
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私は、「不倫」という言葉が大嫌いです。でも私は、その「不倫」を、22歳から27歳までしていました。だけどもあれは、本当の純愛だったと思っています。世間が認めなくても、私にとって、れっきとした恋愛。自分でそう言い聞かせてるだけかもしれませんが……。
頼もしい先輩社員
彼と出会ったのは、ありきたりですが社内でした。彼は当時23歳、私は高校卒業したばかりの18歳。その時はまさか、恋愛関係になるなんて思いもしませんでした。
彼はバリバリの営業マンでまさにヤリ手。新入社員の私は、緊張してしゃべる事もできなかったのです。
でも、誰かの送別会、歓迎会、忘年会などで話をする機会が増えて親しくなり、気軽に話すことができるようになりました。
私が20歳のときでした。私は、支店長に呼ばれて、「事務職より営業の方が向いていると思う。試験を受けて営業職にならないか」とすすめられました。それはとてもうれしい話でした。すぐ勉強を始めて、めでたく資格試験に合格。晴れて営業職となりました。
といっても新米の営業社員。わからないことも多く、ノルマもあったので、当初はブルーな毎日でした。そんな私をみかねて、彼はいろんな事を教えてくれました。
彼が会議などで顧客宅へ受け渡しに行けない時は、私に代役を任せてくれるようになりました。顧客に自分の代役として私を紹介するほどまでに、私に信頼をよせてくれたのです。
とはいえ、そのころはまだ、恋愛感情はありませんでした。だから彼の結婚も心から祝福できたのです。
仕事帰りの車の中で
ところが、彼に同行して外回りの途中、公園でひと休みしていたときのことです。
彼は言いました。
「最近すごくきれいになったよね。入社した時は子供だったのに。一緒にいるとドキドキするよ」
そんなこと、誰にも言われたことがないし、どちらかというとオクテだった私は、それがきっかけで彼を異常に意識するようになってしまいました。
彼は結婚しているし、恋愛感情なんか持ってはいけないと思っていたのに、その言葉がきっかけで、胸が張り裂けるくらい彼のことが好きになってしまったのでした。
彼とは、ふたりだけでお茶を飲むこともよくありましたが、「好きだ」とか「つきあってほしい」という言葉が彼から出てくることはありませんでした。私は自分の感情を心にしまっておこうと思ってました。

そんな状態で迎えた梅雨のある日、その日最後の顧客先が私の家のそばだったため、彼は私を車で送ってくれると言いました。車外はどしゃ降りで雨が窓ガラスを激しく打ち、車の中はいつも以上に密室状態。
彼は、少し時間があるからと、車を止めました。始めはたわいのない話をしていたのですが、そのうち彼の様子が変わりました。そして、
「もう自分を抑える事ができない。すごく好きになってしまったんだ」
と、彼に告白されてしまいました。
「どうして? どうしてそんなこと言うの? 私は今まで、この感情を抑えて好きになってはいけないって、言い聞かせてたのに!」
私は泣きながら彼に訴えました。
彼の顔が近づいてきて、彼は初めて私にキスをしました。
もうどうすることもできませんでした。
退職して再出発しよう
それからは週に一度、食事をしたり映画を観たり、ついにカラダの関係を持ってしまいました。私にとっては初めての人。それは今でも後悔はしていません。
そういう関係が1年ほど続いたある日、彼が神妙な顔をして、私に言いました。
「実は……子供ができたんだ。2月に生まれる」
私は覚悟していたし、その時が来たら彼と別れて、会社もやめようと心に決めていたのですが、「そう……」と言うのが精一杯でした。涙が溢れてきて、その場を逃げるように立ち去りました。
翌日から、私は彼に対して他人行儀になりました。彼の顔は見ない、わざと彼の目前で他の男性社員と冗談を言い合う、徹底的に彼を避ける。そして、一日に何度もトイレに駆け込んで泣いてしまう。
そんな状態で1週間を過ごし、私は、支店長に退職願いを出しました。当時はバブル時代、おもしろいよう仕事がはかどり、顧客もたくさんできていたので、仕事としてはやめたくなかったのですが、平然と仕事を続ける自信がまったく持てなかったのです。
再就職先は退職前に決めることができました。彼の好きな自動車メーカーのディーラー。その営業レディ。行き先が決まって少し気持ちが落ち着いてきた私は、彼に、「今まで避けてたけど、これから退職までは同僚として普通に接したい」と告げました。気張っていたのです。本当は未練たらたらで、こっそり深夜、彼の家の前まで行っていたのですが。
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【私の恋愛ストーリー入選作品一覧】
【大賞】 『恋なの? 不倫なの? 憧れなの?』
【2位】『タバコ』(エッセイ部門)
【2位】 『ブタ姫、チャボに負ける』(体験談部門)
【3位】『主婦の小さな謀反』(エッセイ部門) 
【3位】『略奪愛〜もう一人の同じ名前の彼女〜』(体験談部門) 
【佳作】『プレハネムーン』(エッセイ部門) 
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