『別れるとき』 PART1 (体験談部門)|FAnetオンラインノベル 体験小説

 
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私の恋愛ストーリーエッセイ佳作
別れるとき
体験談筆者:みゆさん
※体験談部門受賞作品は、応募作品の内容をもとに書き起こした小説として紹介してあります。Novelization:笹倉 紫
子供をあきらめたとき、私は自分を、母親であることより女である道を選んだ最低な人間だと思いました。でも彼は、今も一生に一度のかけがえのない人です。
イラスト/福田さかえ
P1/ P2 最後のページにご意見投票コーナーがあります
私が彼と会ったのは、高校卒業後すぐの就職先でした。年は15才離れていましたが、上司というよりは先輩的な存在でした。最初のきっかけは、書類を頼まれた時のメモでした。
「急ぎませんので、ゆっくりやってね〜!! ご褒美は……あげません!(笑)」
と書いてありました。私はその書類を完成後、こっそりメモの返事を書きました。
「上手にできたので、ご褒美はラーメンですね!!(笑)」
その次も、その次の次も、メモのやり取りは続きました。だんだん文が長くなって、メモというより手紙になるまでに、それほど時間はかかりませんでした。
ある日、彼は、手紙に自分の気持ちを素直に書いてくれました。
「最近、すっごくみゆの事が気になる…、この年になっても、こんな気持ちになるんだな。俺、奥さんも子供もいるのに勝手だけど、気持ちは知ってて。俺、好きだわ」
彼に妻子がいることは、入社した時から知っていました。でも、私もまた彼に惹かれている。それは自分でも自覚していたし、手紙もすごくうれしかった。
私たちは、徐々に距離を縮めていきました。彼も私も精神的に子供っぽくて、よくやきもちをやいて喧嘩をしましたが、絶対に離れられなかった。お互いがお互いを必要としていました。
彼との関係が9か月を過ぎたころ、私のお腹に彼の子供がやどりました。とっても嬉しかった。
“今、とっても好きな人の子供が、お腹の中にいるんだ〜。なんか幸せ”
でも私は未成年、1人で育てていく力はありませんでした。彼は彼で、奥さんと子供を捨てられない……。
彼はその時、幼いころ、両親が離婚したことを話してくれました。
「俺は、どんな形でもいいから、両親には一緒にいて欲しかった。俺、親父がいなくてすっげー寂しかった。俺、どっちの子供にもそんな思いさせられない…。みゆの子供、あきらめてくれないか? 子供を産めば俺たち会えなくなる。こんなことでみゆを失うのはいやだ」
私はすごく悔しかった。初めて彼が憎いと思いました。卑怯だと思いました。それと同時に自分の無力さ、自分の愚かさを思い知らされました。
病院へ行き、手術を受けました。
“私の赤ちゃん…、守ってあげられなくてごめんなさい。こんな馬鹿なお母さんだったこと、忘れないで…。一生恨んでね…。私の赤ちゃん、あなたがいたこと絶対忘れないよ!!”
私は自分を、母親であることよりも女である道を選んだ、最低な人間だと思いました。でも、それでも彼と一緒にいたかったのは、本当に彼のことを愛してたからだと思います。
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【私の恋愛ストーリー入選作品一覧】
【大賞】 『恋なの? 不倫なの? 憧れなの?』
【2位】『タバコ』(エッセイ部門)
【2位】 『ブタ姫、チャボに負ける』(体験談部門)
【3位】『主婦の小さな謀反』(エッセイ部門) 
【3位】『略奪愛〜もう一人の同じ名前の彼女〜』(体験談部門) 
【佳作】『プレハネムーン』(エッセイ部門) 
【佳作】『女が男を忘れるとき』(エッセイ部門) 
【佳作】『ホタルの縁』(エッセイ部門) 
【佳作】『万年筆』(エッセイ部門) 
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