野菜料理専門店『菜懐石 仙』<下馬>│MAKIE(園山真希絵)の才色兼備のレストラン 小学館FAnet

 
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MAKIEの才色兼備のレストランin TOKYO
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菜懐石 仙 <世田谷>
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「湯葉・青海苔入り刺身こんにゃく(おぼろ昆布巻き)・アロエのお造り・イギス」…イギスとは、テングサに似た紅藻類に属す海藻のことで、フコイダン(コレステロール吸収の抑制・血圧降下作用などがあると言われる)という成分を多く含みます。無味無臭なので、お醤油で頂きます。(以下、料理は全て、夜のおまかせコースより)

 「野菜ってこんなに素直においしいんだぁ」。野菜料理専門店『菜懐石 仙』を初めて訪れた時、私のお腹と体と心から出てきた最初の言葉でした。
  こちらは、野菜料理研究家として、今をときめくカノウユミコさんのお店です。場所は、祐天寺からとことこ歩いて約10分くらいのところ。小さなビルの2階に、小さな看板がでているだけの、かなり隠れ家的たたずまいのお店です。
  席数も、個室が3つのみで、ふだんは2室しか使用されず、なおかつ、お休みの日も多いということ。「一体それで利益があるんですか?」と聞くと、「趣味みたいなものですから」とユミコさん。

 カノウさんのお料理には、肉・魚・乳製品などの動物性の食材や、砂糖・化学調味料類は一切使用されません。和食につきものとされるおだしも、鰹やいりこといったものは使わず、使うとすれば、昆布だしのみ。
  「植物性の素材だけで、とびきりおいしい料理が作れるんですよ。野菜は力強く生きてますから」(ユミコさん)
  たいてい、料理をする際には、調味料の存在は欠かせませんよね。私も、あらゆる調味料に助けてもらって調理することが常。だけれども、カノウさんからすれば、それは、せっかくの野菜本来の旨みを殺してしまうに過ぎないんです。

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(写真2)「ごぼうときのこのぎせい豆腐」…ごぼうやきのこを豆腐と一緒に固めたものです。いわば、豆腐のハンバーグ。大きなむかごと銀杏に、ほのかな甘みの栗が、秋の演出をプラスしてます。
(写真3)前菜盛り合わせ(手前から時計回りに「りんごと小豆の寒天寄せ」「豆腐の味噌漬け」「生きくらげ・春菊・菊の花の和え物」「クアイの蒲焼き」「焼き柿の特製味噌添え(中央)」)…旬が、心和む器と共に、おいしさを運んでくれます。前菜の前には「ガラリ酒」という奄美大島の、すもものお酒がつきます。これは美容効果大。
 とにかく、こちらの野菜料理を食べたら、野菜の味の濃さに驚かれると思います。調味料の味よりも先に、野菜のおいしさが舌に伝わってくるんですよ。
  ただ、いくらおいしい野菜があっても、調理法を間違ってしまうと、台無しになってしまいます。おいしい野菜をよりおいしく食べるために、あることをしています。それは、「野菜の皮まで食べる」「水に旨みを流さない(長時間茹でたり煮たりしない)」ということ。野菜をできるだけそのまま、そのもの全てを食べてあげるということですね。こうすることで、野菜らしさというものがストレートに伝わってくるんです。 

 ユミコさん曰く、「野菜は、メイン料理の脇役になりがちですが、それでは野菜が可哀想です。野菜をかわいがってあげれば、立派なメイン料理になるんですよ。だから、多くの方々に、もっと野菜に興味をもって、野菜を知ってあげて、野菜を生かす調理をしてほしいですね。そのためにも、毎月第3週の水〜土に、料理教室も開いているんです。そこで、本当のおいしい野菜について、学んで頂ければ幸いです」

 その野菜をおいしく生かすメイン調味料となるのが塩。この塩だって、こだわりありありです。それぞれの素材や調理法によって、塩も使い分けられます。しかし、共通して言えることは、どの塩もとげのあるしょっぱさがみじんもないということ。だから、そのままなめても全然きつさがなくって、使い方次第で、素材の旨みを引き出すというわけなんです。

 よく、精進料理となると、味気ないとか食べた気がしないってがっかりする方が多いようですが、カノウさんのお料理に限っては、そんなご心配は無用です。どれも、「食べた〜」と納得して頂ける料理なんです。
  それはきっと、野菜の生かし方や、塩の使い方に気を配っているからでしょう。あとは、旬。「四季のある日本にいるのだから、その時その時の旬の天然ものを食べるのが一番です」(ユミコさん)

 続けてユミコさんより。「私ね、お客様に、お店に来て頂けるのはとっても嬉しいんですが、それは頻繁でなくってもいいんです。むしろ、皆さんには、おうちでおいしい野菜料理を作って頂きたいんです。それも身近にあるもので、簡単に。その料理作りのご参考になさって頂けることが私の使命かなぁって。だから、お店には、とっておきの日にお越し頂けるのがベストかもしれませんね。お料理好きになって頂くためにも、いらして頂いた方々や、料理教室の生徒さん達には、とびきり心のこもった野菜料理を提供します。その一瞬一瞬を大切にしながらね…」

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(写真4)「とろろ蒸しの白あんがけ(白なめこ・甘栗・百合根・生麩入り)」…とろろの弾力にはびっくり! そして、熱々の塩ベースのあんが、冷えた体をほっこり温めてくれます。使用されている塩は、ベトナムのもの。
(写真5)「天ぷら盛り合わせ:紫芋・青海苔衣の海老芋・ユキノハゴロモダケ・明日葉・カキノキダケとトッピーナンポーのかき揚げ」…ムムム。トッピーナンポー!? 初なお名前に目がまん丸になりました。 どうやらキク科の食物のようです。どれも、塩とすだちで頂きます。そのままなめてもしょっぱくない塩だけに、素材の良さを引き立ててくれます。
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(写真6)「ピーナッツ豆腐・天然なめこ・クリタケ・松茸・セリのお吸い物」…ピーナッツ豆腐は、生の落花生と葛粉を練って作ってあります。プルプルもちもち感がたまりません。
(写真7)「自家製湯葉山椒のせ三分つき米(左)」「岩海苔と菊の花のお味噌汁」…お食事です。三分つき米とは、精米を途中でやめ、ぬか層や胚芽を残したお米こと。玄米よりも個性が控えめなため、体にも料理にも優しく届くんですって。カノウさんご自身で精米なさってます。
(写真8)「さつまいもの豆乳ケーキwithお抹茶」…一見タルト風に見えますが、お砂糖もバターももちろんゼロ。砂糖の代わりはというと、さつまいもや、レーズン・甘酒からの自然な甘みだそうです。女性に嬉しい成分をたっぷり含む豆乳のほか、クコの実や胡麻も入ってます。お抹茶は、無農薬です。
THE着物美人・店主カノウユミコさん。カノウさんは、独学で野菜料理を勉強した後、お惣菜パン屋さんに。それから、最先端の「エコロジーホテル」を作りたいと、ネパールに行ったという経歴の持ち主。帰国後、「やはり日本は、建物・食べ物が素晴らしい。野菜料理をやるなら日本しかない」と、今のお店を開店。お店は、姉妹で切り盛りしていますが、お二人とも着物姿が、それはもう清楚であり、愛くるしくもあります。料理のみならず、このお召し物からも和の風情が漂います。 img
MAP 菜懐石 仙
世田谷区下馬5-35-5 2F

tel&fax 03-5779-6571
open 木・金・土 12:00〜15:00(夜は一切営業していません)
定休日 日・月・火・水・祝祭日 毎月第3週(料理教室のため)
料理 8000円おまかせコースのみ(税・サービス料別) 予約のみ。全席禁煙
カード 不可
アクセス 東急東横線祐天寺駅より徒歩10分
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